2010年の医薬品対外貿易情勢分析及び2011年の展望

2011/2/21

   2010年より、世界経済は緩やかに回復を続け、世界医薬品市場のニーズが安定し、中国国内医薬品市場は持続的に速い増加を見せた。安定した輸出、輸入拡大政策の取り組みは、継続的に著しい効果を見せ、医薬品企業の全体的な競争力が更に一歩アップした。医薬品新興国市場の開拓においても著しい効果を見せ、製品構成の改善により実質的進歩を遂げた。これら諸要素の相互作用により、中国医薬品対外貿易は比較的速い回復を見せ、増加情勢となった。従って、輸出入規模は前年の平均を超え、全体的に予測を上回る好成績となった。

<一. 2010年の中国医薬品対外貿易運営状況>

(一)医薬品輸出入成長率は全面的に回復、貿易バランスが改善される

  2010年、中国の医薬品輸出入総額は601.97億米ドルで、前年同期比24.57%の増加となった。その内、輸出額は397.33億米ドルで24.87%の増加。輸入額は204.64億米ドルで23.98%の増加となった。これは即ち、中国国内外の環境が全体的に改善され、安定した輸出、輸入拡大政策の取り組みが著しい効果を現したためである。

 特に中国医薬品企業の競争力の更なる増強と、製品構成のレベルアップに密接に関係している。その内、医薬品原料、衛生材料といった一次産品の輸出が迅速な回復を果たし、西洋薬、診断設備の輸出能力が強まり、世界市場における中国の医薬製品の競争力がよりいっそう高まった。

 同時に、2010年、中国政府は新医療改革政策の進行と実行を徐々に開始し、中国国内の医薬品市場ニーズが更に拡大された。また、医薬品の輸入が大幅に増加したが、輸出も増加した為、輸出超過に大きな変化はなく、輸出超過額の輸出入額に占める割合は31.69%と、昨年と基本的に変わらない、健全な発展の軌道を歩んでいる。

図1.年度別医薬品輸出入状況

年度別医薬品輸出入状況

(二) EU、米国、日本等主要市場の回復・増加、中国医薬製品の競争力は更に強まる

 中国医薬品の主な輸出市場は依然として先進国であり、EU、米国、日本への医薬品の輸 出は54.36%を占め、合計21.69%の増幅となった。中でも、米国、日本経済は緩やかな回復を見せ、経済指標は良い方向に向かっており、世界貿易統計データ(米GTI社)によると、2010年1月から11月までの、米国、日本の医薬品貿易における前年同期比は、それぞれ12.96%、27.34%増となった。

 EU市場は金融危機による打撃が依然として残っており、主要経済体とその周辺国家の経済情勢は二極化の様相を呈している。主要国家のドイツとフランスの経済成長は上向き、スペイン、ポルトガル等一部国家の経済回復の見通しは不明。EU医薬品輸入額は4.54%の微増であった。

 しかしながら、中国の米国、EUへの医薬品輸出は大幅に成長しており、成長率はそれぞれ24.88%、25.71%に達した。その主な要因として、中国のミドル・ハイエンド医薬製品の著しい増加と、製品の競争力アップ、医薬製品の市場シェアの増加にある。

図2.対先進国医薬品輸出状況

対先進国医薬品輸出状況

(三)医薬品新興国市場における迅速な発展、市場の多元化が奏功

 2010年より、新興国市場と新興国の経済は比較的に速い拡大を見せ、中国と新興国と の経済協力はますます深まっている。中国国内医薬品企業は、新興国市場において更に積極的・主動的に開拓を行っており、市場の多元化が功を奏している。

 2010年の対アセアン、インド、ブラジル、ロシアの医薬品輸出額はそれぞれ35.76、33.86、8.96、6.3億米ドルで、それぞれ前年同期比29.15%、34.55%、30.01%、39.16%増となった。

 上述の4つの新興国市場への輸出額は合計84.88億米ドルで、輸出総額の割合は前年同期に比べ1.34%ポイント増加した。同時に、上述の医薬品市場の空間は巨大で、ブラジル、ロシアにおける直近1年の全世界からの医薬品輸入額はそれぞれ96.6、56.2億米ドルに達し、且つそれぞれ29.92%、40.12%の成長率で発展している。

 現在中国医薬製品のこの二国の市場に占める輸入シェアはまだ1%にも満たない。中国の医薬品原料、西洋薬、診断設備といった主要品目は相応の競争優位性を備えており、市場獲得への可能性は非常に大きく、2011年は引き続き新興国市場におけるシェア拡大が見込まれる。

図3.対新興国市場医薬品輸出状況対新興国市場医薬品輸出状況

(四)西洋薬と診断設備の輸出割合が高まる、製品構成の改善が実質的進展を獲得

 2010年、西洋薬と医療機器の輸出が更なる高みへと踏み出した。中でも、西洋薬の輸 出額は14.97億米ドルで、31.19%の増加。成長率の最も高いエリアは、アセアン、インド、ブラジル、ロシアで、輸出増加幅はそれぞれ44.88%、72.96%、61.73%、65.27%。同時に、世界的製薬グループは生産の中心を徐々にアジアへシフトさせており、多国籍企業による中国への投資が拡大し続けている。

 このことは中国のEU、米国への製剤輸出の増加につながり、それぞれ34.32%、25.49%の増加となった。データによると、一部の医薬品原料輸出企業が製剤輸出へと急速に転換しており、製剤の輸出比率が更に高まっている。今後も西洋薬の輸出は大きく成長すると見込まれる。

 医療機器の輸出額は45.44億米ドルで、前年同期比25.56%増。製品技術のグレードア ップが大きな成果となって表れ、製品輸出単価が大幅にアップし34.95%増となった。

 輸出 市場は持続的に拡大し続けている。欧米市場への輸出は安定した成長をみせ、インド、ロ シア、ブラジル市場に対しては成長著しく、成長率はそれぞれ62.84%、59.40%、46.06%と、 市場シェアを確実に伸ばしている。中国産MRI装置、X線CT装置などハイエンド医療機 器が新市場を開拓し、全体の輸出情勢は楽観的である。

図4.ハイエンド医薬製品輸出状況

ハイエンド医薬製品輸出状況

(五)原料製品の単価がやや上向き、世界市場占有率が更にアップ

 医薬品原料の輸出状況は金融危機の影響を脱し、輸出量は安定した成長を保ち、輸出額 203.01億米ドル、26.19%の増加で、医薬品輸出額における比率は51.09%、平均価格は2.27%アップした。

 医薬品原料輸出の回復には、中国が医薬品における化学工業の基礎を有する以外に、以下の三方面の市場要素によるところが大きい。

①インドが医薬品原料生産型から製剤生産型へと急速に転換し、医薬品原料の中国に対する依存度が増したため、対インド医薬品原料輸出額の増幅は34.72%に達した。

②中国医薬品原料が基本的に市場占有率の飽和状態にあるEU、北米市場において、引き続き市場シェアを伸ばしたため。世界貿易統計データ(米GTI社)によると、対米国の抗生物質、ビタミン、解熱鎮痛剤類の大口医薬品原料の輸出が5.63%増加し、市場シェアは3.22%ポイント増加の、53.15%となった。

③医薬品新興国市場における製薬工業が急速な発展を見せ、中国に対する医薬品原料の需要が高まったため。対インド、ロシア、ブラジル、アセアン全体の増幅は29.22%に達し、市場占有率も同様に高まった。

(六)加工貿易の迅速な増加、世界的製薬グループの中国における配置の加速化

 中国の医薬品輸出は一般貿易製品が主体で、医薬品一般貿易製品の年間輸出額は307.50億米ドル、前年同期比25.37%の成長となり、医薬品輸出に占める割合は77.39%。医薬品加工貿易製品の輸出額は78.17億米ドル、前年同期比22.46%の成長となった。

 医薬品加工貿易製品のうち、外資系企業が74.84%を占め、成長率は21.27%に達した。多国籍企業の中国への投資が引き続き拡大し、中国における配置が加速していることがデータに表れている。

<二.中国の医薬品対外貿易に潜むリスク

 2011年、中国の対外貿易における安定した輸出、輸入拡大政策は引き続く見通し。医薬品対外貿易の発展には有利な条件が少なくない、とは言え、外部の不確定要素は依然として多い。欧米の経済回復は緩慢で、中国国内の医薬品生産コストは上昇し続け、企業の経営圧力は大きくなっている。医薬品対外貿易の情勢は楽観視しがたいと言える。

① 欧米日など主要医薬品市場の経済回復が緩慢、外需拡大の空間は有限
② 医薬品生産コストの間断ない上昇、企業の経営圧力は継続的に増大
③ 中国のミドル・ローエンド医薬品産業は激しい同質化競争に直面
④ 医薬品産業のレベルアップは技術的壁に直面

<三.中国の医薬品対外貿易における予測と展望

① 製品のレベルアップが中国医薬品貿易の成長の鍵となる
② 医薬品原料などミドル・ローエンド製品の市場競争力は今後も保持
③ 世界市場におけるリスクとチャンスの共存
④ 中国国内医薬品市場は今後も安定した発展速度を保持

 各種要素を総合的に考慮すると、2011年の中国医薬品対外貿易は引き続き増加形勢を保持すると見込まれるが、成長率はやや落ち込む見通し。

  第一に、医薬品原料輸出は、迅速な回復的増加から安定した増加へと転換する見通し。欧米市場での継続的シェア拡大と新興市場での需要拡大により輸出の増加が見込まれるが、増幅はやや下降すると見られる。

  第二に、衛生材料、リハビリ用品といった伝統的な労働集約型産業は、アセアン、インドの相次ぐ参入により、中国製品の価格優位性が弱まると同時に、先進国市場の日増しに進む飽和状態に、増幅は落ち込んでいくと予測される。

 第三に、西洋薬、診断設備、バイオ医薬品といった高付加価値製品は、中国国家政策による支持のもと、迅速に発展するであろう。またこれら関連企業は、産業構造調整中のこの数年間において、研究開発能力、品質基準、国際的認証といった方面に渡り迅速な発展を果たし、先駆けた成長を実現させた。医薬品輸出の迅速な増加が中核の原動力となり、2011年も引き続き30%前後の成長を維持すると予測される。

出典:医薬網

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