グローバルメディカルメーカ in China 2009

2010/01/12

 2009年、グローバル製薬大手が中国の医療改革のチャンスを捕まえ、中国医薬品市場のシェアを獲得しようと様々な努力を行った。

1.アストラゼネカ社

 2009年、アストラゼネカ(中国)は上海張江ハイテクパークにおいて施設の定礎式を行った。その第1期工事は同社の中国エリア業務本部オフィス、トレーニングセンター及び一部のアジアアンドグローバル業務を担当する事務センターで、2011年1月に竣工して使用開始の予定をしており、第2期は同社の中国イノベーション研究センターの新館であり、2012年年末に竣工する予定。

 2008年、アストラゼネカ社のグローバル売上総額の316億米ドルあまりのうち、中国エリアは6億米ドルを達成した。同社の2001年の中国エリアにおける売上総額はわずか8,500万米ドルだったが、約30%の年間平均増加率を維持し、2008年にはグローバル製薬メーカの中国における売上総額の一位の座に上った。同社はこれから10年間の年間平均増加率を22%と想定しており、2018年の売上総額は48億米ドルに達する見込みになり、中国は同社のグローバル市場で最も重要な市場の一つになるだろう。

 現在、アストラゼネカ社は中国において自社の営業チーム養成に力を注ぎ、「都市で農村を囲む」戦略で、中国の大陸部の医薬品市場を獲得しようとしている。

2.バイエル医薬

 09年年初、バイエル社傘下のバイエル医薬は、1億ユーロを投資して、北京でグローバル研究・開発センターを創立し、同社のグローバル範囲内の研究・開発能力を強化する、と公表した。

 「バイエル社はずっとアジア太平洋地区の業務を強化しており、中国は業務の更なる成長の主要な駆動力である。バイエル社は新しく創立する北京研究・開発センターで、世界トップレベルの研究・開発チームを立ち上げ、同社のグローバル研究・開発の専門知識及び能力を更に伸ばす予定。北京はバイエル社のグローバル先発薬開発の重要な基地となる。」とバイエル医薬保健執行委員会のメンバーが語った。

 ドイツのバイエル医薬保健部門の2008年のアジア太平洋地区の売上総額は9.1億ユーロ(約13億米ドル)。うち、中国市場の売上額は総額の48%。北京がバイエル社のグローバル先発薬開発の重要な基地になることも道理にかなっていることだ。

 3.ロシュ社

 2009年初頭、スイスロシュ社は年内に中国のバイオ科学技術会社の買収、或いは中国会社が開発した化合物の販売権のライセンスインを行うかもしれないと、メディアに情報公開した。

 「中国の企業はバイオ科学分野における認識が非常に深いため、わが社は中国のこれらの分野の企業だけではなく、薬物製剤も含めて、合併、買収、或いは簡単な許可取引に関連するチャンスを重点的に注目している。」と同社のグローバル製薬研究・開発業務責任者が語った。

 2008年、ロシュグループの売上総額は456億スイスフラン。うち、診断関係業務の売上額は100億。中国市場においては、ロシュ社の診断業務の年間成長率が30%にも上り、19%の市場シェアでアジア太平洋地区の一位になり、アジア太平洋地区市場の3分の1の規模まで成長した。アメリカ及びヨーロッパ市場での売上額が減少するため、グローバル製薬企業が中国などの新興市場に力を注ぎ、より大きな市場シェアを占めようとしている。ロシュは現在中国で6つの科学研究プロジェクト実施している。

4.ジョンソン&ジョンソン製薬

 2009年4月16日、ジョンソン&ジョンソン製薬研究・開発センターは上海で同社のアジア地区の研究・開発本部として、新しい研究・開発センターを設立することを発表した。ジョンソン&ジョンソン製薬研究・開発センターは上海のアジア本部を中心に、ボンベイ、バンガロールなどイノベーションチームを統合し、大学、研究機構と企業との連携ネットワークを作り上げ、新しい医療方法の開発に力を注ぐ予定。

 2009年第1四半期、同社の医薬品業務売上額が150億米ドル、前年度同期比7.2%下落した。第2四半期も13.3%下落し、売上額が55億米ドルになったが、中国における売上額は毎年2ケタの増加率で、中国市場の価値を証明した。各グローバル製薬メーカにとって、「中国チャンス」は単なる市場と売上を意味するだけではなく、企業の産業チェーン全体に利益をもたらすことになる。

5.サノフィ・アベンティス社

 2009年サノフィ・アベンティス社の中国医薬品市場での活躍ぶりは非常に活発なものであった。
◆ 宣武病院と提携し、共同研究・開発を実施開始。
◆ 中国杭州民生薬業有限会社と提携協議書を締結し、新しい消費医療製品を扱う合弁企業を設立することを予定。この新しい合弁企業はサノフィ・アベンティス社が中国の非処方薬市場に進出する戦略拠点になる。
◆ 6億元の投資額を増加し、北京経済技術開発区にある同社のインシュリン工場を拡大し、来得時Lantus(甘精インシュリンInsulin Glargine Injection)のpre-bulking生産ラインを建設した。
◆ 2.7億元を投入して杭州濱江ハイテクパークで、心臓血管疾患及びガンの治療薬を生産する新しい生産基地を建設した。
◆ 9,400万米ドル(約人民元7億元)を投入して、深センでインフルエンザワクチンの生産基地を建設した。同基地は2012年に生産開始することを予定している。

 中国市場発展の足どりに成長スピードを合わせ、中国市場に対する徹底的な分析及び理解、新興市場を開拓する勇気と知恵、目的を利益の獲得だけではなく、WIN-WINの提携精神はサノフィ・アベンティス社が中国で大きな成果を上げられた源だと見られた。新興市場において、サノフィ・アベンティス社のビジネスモデル、及び市場や投資に対する把握の正確さと提携パートナーとの提携方式などは他の企業にとって参考にする価値があるといえる。

6.ノバルティス社

 2009年にノバルティス社の上海研究・開発センターが正式に工事を開始した。同社はこれからの5年内に、トータル10億米ドルの投資額で、同社の全世界の研究・開発センターの中で、大きさが3番目になる施設を建設する予定;また、同社のグローバル技術センターの重要な一部である蘇州ノバルティス製薬科学技術有限会社が江蘇省常熟市で正式に運営を開始することを発表した。

 2009年にノバルティス社は中国で、2,500万米ドルのノバルティス常熟生産基地の増資額、及び浙江天元生物薬業公司の85%の株式を買収、という2つの現金投資プロジェクトがあった。

 2008年、ノバルティス中国社の中国における売上総額は33億元で、前年度同期比29%増に達した。同社はすでに事業の「土台作り」を終え、これから急速に発展する段階に入ると見られている。

 特許薬とOTC分野において、ノバルティス社はこれからの5年内計画的に20品種以上の製品市場に投入する予定、非特許薬の山徳士も年間20品種の製品を発売することを目標として設定した。

 世界5番目のワクチンプロバイダーとして、ノバルティス社は中国での成長もスピードアップしている。

7.メルク社
   
 2009年9月、メルク社は4000万米ドルで蘇州泰珠科学技術発展有限会社を買収し、11月に傘下業務部門のメルク雪蘭諾は同社が北京でグローバル研究・開発センターを建設し、また、これからの4年間に1.5億ユーロ(約人民元15億元余り)を北京センターの建設に投入する予定を公開した。

 メルク雪蘭諾の中国での販売収入は3年近くで9~10倍ほど上昇した。同社は中国においては、生殖、腫瘍、内分泌、心臓血管、外科急患など8分野計16品種の製品が発売されている。同社は現在中国での新薬の登録を手掛けている。

8.ファイザー社

 2009年、中国において、ファイザー社はファイザー製薬有限会社の新無菌工場に追加投資を行い、新しい生産現場を作り上げ;中国での研究・開発事業の規模を拡大し、武漢光谷で研究・開発機関の建設;北京大学と提携してライフサイエンスの基礎研究の展開を行った。

 ファイザー社は1989年に大連で近代化工場を設立し、現在中国で投資額が最も大きな外資製薬メーカの1社であり、中国全土の100あまりの都市で経営活動を展開している。

 2009年第1四半期、ファイザー社の純収益額は2%下落したが、新興市場での業績が9%上昇した。中国を含めるアジア市場が受けた金融危機の影響が比較的少なかった。中国現行の医療体制改革は、ファイザー社に中国での発展戦略と事業重点を整理するチャンスを与えた。

 9.アボット社

 2009年、アボット社は中国地区での研究・開発事業への資金投入を拡大した。2009年初頭、アボット社は中国で2つの生産基地を設けた。うち、1つは広州にある中国市場向けの営養食品の生産工場。同基地はアボット社の栄養部門が運営する唯一の単一の市場をターゲットにする生産工場である。また、同社は上海浙江ハイテク工業パークで研究・開発センターを設けた。同センターはアボット社の中国での初めての研究・開発施設である。

 中国の経済の急成長はアボット社のようにグローバル企業に発展するチャンスをもたらした。中国は非常に重要な市場である。これからの5年間、中国はアボット社の業務の成長の重要市場だ、とアボット社国際栄養部門の責任者が語った。

 2008年、アボット社の医薬品の売上総額は167億米ドルだった。「すべての人は中国が大国であり、医療保健業界の市場潜在力は巨大だと認識している。誰も10年後に、自分が中国で発展しなかった代償を受け入れられないだろう。各社の基本的な戦略に関する認識は比較的一致している。」とアボット社国際(中国)の周文軍社長が語った。

10.グラクソ・スミスクライン社

 2009年10月、グラクソ・スミスクライン社は江蘇沃森公司と共同で、中国市場向けの小児用ワクチンを研究・開発及び生産する合弁企業を設けた。

 目下、処方薬は依然としてグラクソ・スミスクライン社の中国における最大の業務であるが、ワクチンと保健類製品が成長する潜在力はもっと大きいので、グラクソ・スミスクライン社が保健類製品及びワクチン分野に対する投入を拡大し、中国で3つの重点分野で構築される業務構造を形成するように力を入れている。

 現在、グラクソ・スミスクライン社の事業重点はすでに東部地区に移転した。中国市場を例にすると、北京、上海及び広州のような大都市の経済規模はヨーロッパの1つの国家よりも上回るかもしれないので、将来市場がますます成長されると予測されている。

 そのほか、医療保障サービスの改善、「一カード通」(One stop 医療保険カード)の推進、医療保険業務担当機関と指定医療機関との間で直接清算を実現、新型農村合作医療に加入した農民が統一管理地域内で、自主的に受診できる指定医療機構を選ぶことの許可(もしくは受診できる指定医療機構を自主的に選べる許可)、他の県にある病院への転院手続の簡略化など。そして一般の就労者及び農民、倒産・経営困難企業の従業員、「農民工」などの流動就労者に対応する基本医療保障に関係する政策も検討されている。

【注4】走票:医薬品経営資格を持たない比較的固定した医薬品の販売ルート及び仕入ルートを有する個人が、合法的な医薬品経営資格を有する企業に一定の金額の税金、或いは「管理費」を支払い、同企業に所属すると見せかけ、個人の医薬品経営行為を「正当化」する行為。

ページ先頭へ

・(2009年9月28日)中智が「新中国60周年60ブランド」を受賞 ・(2009年6月15日)中智医誌をリニューアルしました! ・(2008年8月20日)中智グループが中国企業500強にランキング ・(2008年5月8日)中智日本支社張俊支社長が胡錦濤主席との写真。
中国国際技術智力合作公司 日本支社
文字サイズ変更
標準特大
会員サービス
会員のお申込
メルマガ購読
中智日本医薬総研株式会社
大阪医薬品協会
医薬基盤研究所