2009年に公布された医療改革政策
2010/01/12
2009年は「医療改革の年」であり、数年来で医薬業界関連政策の公布が最も頻繁な一年であった。医療改革、医薬品の集中買付け、医薬品の取締、H1N1インフルエンザ、産業発展などに関連する政策が続々と登場した。
一、2009年――「医療改革の年」(新医療改革及び関連政策が相次ぎ公布)
1月21日、国務院が審議し、原則的に「医療改革意見」及び「2009-2011年の医療改革実施方案」を採決し、今後3年間の段階的事業目標及び重点的に実施する5つの改革項目を明確にした。概算では、3年間で各級政府は合計8500億元の資金投入が必要であると予想された。
4月6日、「中共中央国務院が医薬衛生体制改革の深化に関する意見」(「意見」と称す)が正式に公布された。「意見」では、「段階的にすべての国民が基本医療衛生サービス享受の実現、「受診困難、診療費高騰」などの問題を緩和すること」を提起した。
4月7日、国務院が「医薬衛生体制改革近期重点実施方案(2009-2011年)の印刷配布に関する通知」を公布、各省(市、自治区)に真剣に貫徹、実施することを要求した。
2009から2011年にかけて、基本医療保障制度の構築を加速化推進;国家基本薬物制度の初歩的な構築;基礎医療衛生サービス体系の健全化;基本公共衛生サービスの段階的な均等化への促進;公立病院改革の試行への促進、5項目の改革を重点的に行い、国民の苦情が比較的多い「診察困難、診察費用高騰」の問題解決に力を注ぎ、医薬衛生体制の全面的な改革を促進することを明確にした。
8月18日、「国家基本薬物制度実施意見」、「国家基本薬物目録(基礎医療衛生機構配備使用部分)」(2009版)が公表され、中国の国家常用医薬品制度プロジェクトが正式にスタートを切った。
「基本薬物目録」には、化学薬、漢方製剤計307品種が含まれており、2009年9月21日から実施された。
10月2日、国家発展と改革委員会は「国家常用医薬品の小売り指導価格」を公表した。同指導価格は計2,349種類の剤型・規格製品が含まれた。調整された価格は10月22日から実行され、うち、以前の規定価格に比べ、45%の医薬品の価格が引き下げられ、平均下降幅は約12%。また、49%の医薬品の価格が調整されず。6%の供給不足の医薬品の価格が引き上げられた。
11月23日、国家発展と改革委員会、衛生部及び人的資源・社会保障部が共同で「薬品と医療サービス価格形成メカニズムの改革に関する意見」を発表した。「2011年までに、中国医薬品市場価格の秩序を徐々に改善、薬価が合理的になるようにさせ、医療サービスの価格構造に存在する矛盾点を著しく緩和させる。2020年までに、薬価は生産・サービスコストの変化、及び市場の需給状況を客観的かつタイムリーに反映できるようにさせること、という医薬品価格改革の現段階及び長期的な目標を確定した。政府は現行の病院の医薬品販売価格上乗政策を段階的に取消し、流通プロセスの差額率に対しても厳しくコントロールし、診療価格などを適切に引き上げる予定があると明確にした。
11月30日、人的資源・社会保障部は2009年版の「国家基本医療保険、労災保険及び生育(出産育児)保険医薬品目録」(「医薬品目録」と称す)を公表した。新版「医薬品目録」には、西洋薬及び漢方製剤計2,151品種が含まれている。
西洋薬は計1,164品種が収録され、うち、甲類349品種、乙類791品種、そのほかに労災保険専用の医薬品20品種、生育保険専用医薬品4品種、漢方製剤は計987品種が収録され、うち、甲類154品種、乙類833品種が含まれている。
「国家基本薬物目録」にあるすべての治療用医薬品は「医療保険医薬品目録」の甲類の部に収録されている。2004年版に比べると最新版の「医療保険医薬品目録」に収録された医薬品数は増やされ、2,196品種に達した。うち、中西薬注1)は10.6%増加、漢方製剤は20%増加、民族薬は2品種減らされた。
二、医薬品流通プロセスの減少――医薬品の集中買付け注2)を規範
1月17日、衛生部などの6政府部門が共同で「医療機関医薬品集中買付け工作の更なる規範に関する意見」(「意見」と称す)を公表し、2つの改革を明確にした。
①オンライン医薬品集中買付けは全面的に政府が主導し、省(自治区、直轄市)単位で行われるものである。
②医薬品の流通プロセスを減らすため、医薬品の集中買付けの方式を、従来の卸業者が入札することから、医薬品メーカの直接入札に変える。
【コメント】:
「意見」の期待できる3つのポイント
①入札する主体が無料で取引を行うため、医薬品入札買付け機関は中立性が効果的に保てること。
②流通プロセスを減らし、市場での医薬品流通の規範とすること。
③医薬品配送企業に対する要求を高め、業界の競争力を上昇させること。
「省レベルの入札募集」の実施によって、地方での医薬品の代理業務がよりローカルリーディングカンパニーに集中することを加速させ、中小企業の生存環境がより厳しくなり、医薬品商業業界の再調整を誘発する可能性があると、一部の業界関係者が指摘した。
「医薬品販売の報酬で医療機関の運営費用を補充する体制が変わらない限り、効果的に入札制度を細分化及び改善することは難しい」と上海第一財経研究院の研究員が指摘したが、中国大手製薬メーカの麗珠グループの陶徳勝副総裁は省レベルの入札実施は医薬品工業業界、及び商業業界の新たな再調整を誘発する可能性があり、業界の産業集中度がさらに向上し、実力のある大手医薬品メーカと商業企業が利益を得られる一方、中小企業の「生存する空間」が再度「圧縮」されるだろう、と語った。
三、医薬品市場の規範化――SFDAなどの国家政府部門が多項目の措置を公表
Ⅰ.「新薬登録特殊審査承認管理規定」の公布&実施
新薬の研究開発を励まし、効果的にリスクを制御して、確実に中国の創新薬の研究・開発を推進するため、国家食品薬品監督管理局は2009年1月7日に、「新薬登録特殊審査承認管理規定」(国食薬監注[2009]17号)(「規定」と称す)を正式に公布・実施した。
「規定」は「薬品登録管理弁法」の3本目の関連政令であり、「エイズ、悪性腫瘍、希少疾病などの疾病の治療用に、著しい臨床治療効果がある新薬」など4種類の医薬関連製品が特殊審査承認プロセスに適用することを定めた。
Ⅱ.医薬品コード管理の実施――市販医薬品の「ID」
2009年6月11日、国家SFDAが「国家薬品コード管理実施に関する通知」(国食薬監弁[2009]315号)を公布し、市販の医薬品に対してコード管理が義務付けられた。この政令の公布によって、今後市販される医薬品はすべて「身分」を証明するバーコードを「着用」するようになり、薬局の在庫管理がより簡単になるほか、医薬品監督管理部門が偽造・粗悪な医薬品の取締にも役立ち、消費者を安心させるメリットが期待できる。
Ⅲ.医薬品購入・販売活動における伝票管理の規範
2009年6月2日、国家食品薬品監督管理局は「薬品購入・販売活動における伝票管理関連問題に関する通知」(国食薬監安[2009]283号)(「通知」と称す)を公布・実施した。
最初に「共犯として見なすこと」を提起した政令として、「通知」は誰かが偽造・粗悪な医薬品を生産・販売する行為を知り、或いは知るはずでありながら、領収書を提供する場合、「両高注3)司法解釈」の関連規定に従い、司法部門に移送し、法律に従って処理することを明確にした。
今回公布された司法解釈及び国家が医薬品の購入・販売活動における伝票管理に関する具体的な措置は、効果的に「走票注4)」や「名目上の附属経営」などの違法行為を取り締まる効果が期待できる。
医薬衛生体制の改革案を貫徹、実施するため、医薬品の生産、流通プロセスへの監督管理を更に強化、「名目上の附属経営」などの違法行為、また偽造・粗悪な医薬品の違法な販売活動を厳しく取締り、医薬品の品質安全を保障し、医療改革事業の順調な展開を推進する。
Ⅳ.「両高」が偽造・粗悪な医薬品関連刑事案件に適用する法律問題に関する解釈を公布
2009年5月26日、最高人民法院及び最高人民検察院が「偽造・粗悪な医薬品の製造・販売に係る刑事案件の処理における具体的法律の適用の問題に関する解釈」(「解釈」と称す)を公布し、5月27日から実施された。
医療機関、及び個人の医師が偽造・粗悪な医薬品であることを知り、あるいは知るべきでありながら、同医薬品を使用、或いは販売する場合、偽薬販売罪、粗悪薬品販売罪で刑事責任を追及すること;偽造・粗悪な医薬品を生産・販売する犯罪者にほう助、或いは便利を提供する行為、例えば郵送、広告行為などを共犯として見なすこと。自然災害、事故・災難、公共衛生事件、社会安全事件が発生している時期中に、突発事件の対応に応用される医薬品の偽薬、粗悪な医薬品を生産・販売した場合、法律に基づいて厳重に処罰すること、と「解釈」が定めた。
「解釈」の公布は、最高人民法院及び最高人民検察院が偽造・粗悪な医薬品の生産・販売を法律に基づいて処罰し、市民の生命、健康、安全を保障するための重要な動きの一つである。
Ⅴ.医薬品の広告への監督管理の強化――多部門が共同で措置を公布
2009年2月16日、国家広電総局、国家工商総局、衛生部、国家食品薬品監督管理局、国家中医薬局が共同で「ラジオ・テレビにおける医療・医薬品の広告の監督管理作業の更なる強化に関する通知」(広発[2009]8号)(「通知」と称す)を公布した。
「通知」はラジオ・テレビなどのメディアで医療、医薬品の広告を発表する際、4つの「不可」を言明した。即ち、①審査で要求に合致しないことが判明、或いは、審査許可の内容を勝手に歪曲したものはすべて放送してはならない②専門家、患者のイメージを利用して治療効果を証明するものはすべて放送してはならない;③治愈率や有効率を宣伝、また医者と患者が現場で、或いはホットラインを通してコミュニケーションを行う内容が含まれるものはすべて放送してはならない④医薬品を生産・経営する企業、或いは医療機構が製作する医療・健康類コンサルティングサービスの番組はすべて放送してはならない。
2009年4月28日、国家商工業総局、衛生部、国家食品薬品監督管理局は「医療器械広告審査公布標準」(「標準」と称す)を公布し、2009年5月20日から施行された。
「標準」では、広告の中に、①承認された医療器械の名称 ②医療器械生産企業の名称 ③医療器械登録証書の番号 ④医療器械広告承認番号の4つの要素を明確に表記しなければならないことを定めた。
この類の広告には有効率、治愈率、効果を表す断言など含んではならない、「研究発展」、「実験或いはデータ証明」などに類似する用語を使用してはならない。「安全」、「毒副作用なし」、「無効の場合返金」、「依存性なし」、「保険会社が承諾」などの承諾性用語、及び「最新技術」、「最先進科学」、「国家級製品」、「国内の空白を埋める」などの絶対化或いは排他性用語を使用してはならないと「規定」に定められた。
Ⅵ.薬品技術譲渡登録管理規定の公布――資源の合理的な配置を促進
2009年08月19日、SFDAが「薬品技術譲渡登録管理規定」(「規定」と称す)を印刷配布した。「規定」は公布日から施行された。
国家食品薬品監督管理局が「規定」を公布したのは、技術が一種の製品として、市場で秩序よく流通し、一部の技術が十分な状況で外部に譲渡されることを奨励。新薬、長年市場に投入した医薬品、輸入薬を一定の条件において、技術譲渡を許可し、先進的な科学研究の成果及び成熟した生産技術の応用と普及を奨励、これは国外の先進的な生産技術を国内に定着させるためである。「規定」の公布は、市場配置資源における作用の発揮、製品と資源条件の再編には有利であり、医薬産業の成長を促進する効果が期待できる。
Ⅶ.SFDAは国家基本薬物品質監督管理規定の強化を求める
2009年09月22日、国家食品薬品監督管理局は「基本薬物品質監督管理の強化に関する規定」(「規定」と称す)を公布して、公布日から施行された。
「規定」は各レベルの食品薬品監督管理部門が職責分業及び属領管理の原則に基づいて、それぞれその責任を負い、常用医薬品の品質への監督・管理を確実に強化し、常用医薬品の品質を確保。年度医薬品の抽出検査計画の中で常用医薬品に対する抽出検査の割合を増やすことを要求した。
Ⅷ.衛生部は消毒製品の生産企業に対する衛生管理を強化
2009年6月9日、衛生部は「消毒製品生産企業衛生規範(2009年版)」(「規範」)を公布し、2010年1月1日から実施された。
「規範」は生産企業の工場地区の環境と配置、設備、物質・材料と倉庫の貯蔵、人員への要求に対して明確に規範した。
2009年11月16日、衛生部は「消毒製品生産企業衛生許可規定」(「規定」と称す)を公布し、2010年1月1日から施行された。
国内において消毒製品の生産、小分け包装に従事する企業と個人は、「規定」の要求に従い、「消毒製品生産企業衛生許可証」を申請・受領しなければならない。衛生許可証の有効期間は4年間、番号の書式は:(省、自治区、直轄市の略称)+衛消証字+(証書発行年度を示す西暦番号)+第XXXX号、「規定」に定められた。
四、医薬業界の発展を奨励する政策――中医薬、バイオ産業が受益
2009年4月21日、国務院は「中医薬事業発展の支援及び促進に関する意見(国発〔2009〕22号)を公布し、中医(東洋医学)と西洋医学を同様に重視する方針を堅持し、中医薬の作用を十分に発揮することを提起した。同「意見」の公布は中医薬事業が中国医療事業全体の発展と共に成長することが促進でき、中医薬の発展史においては「一里塚」的な意義を持つ。
2009年5月13日、温家宝総理は国務院常務会議を主催し、科学技術の支柱効果の更なる発揮、国家科学技術関係の重大プロジェクトの加速化について検討・業務配置を行った。会議は「バイオ産業の発展を加速させる政策」を討論し、原則的に可決した。
会議では、世界バイオ科学技術革命と産業革命のチャンス必ずつかみ、バイオ産業を中国のハイテク分野の支柱産業になるように育成すべきこと、またバイオ関連医薬、農業、エネルギー、製造、環境保護産業を重点として、現代バイオ産業の発展に大いに力を注ぐことを定めた。
また、バイオ医薬産業などの発展の重点とし、7つの分野からバイオ産業の発展に力を注ぐことを提起した。よって、中央政府は2009年に328億元、2010年に約300億元の資金を投入し、企業への投資を行う。主に遺伝子組替え生物新品種の作出、大型新薬の研究・開発、及びエイズ、ウイルス肝炎など深刻な伝染病の予防・治療を推進する予定。
【注1】中西薬:中西薬学とは、中医学と西洋医学の理論の結合によって誕生した新型の医薬学理論体系。中西薬学に基づいて研究・開発される医薬品及びその使用規律は人体が疾病を予防・治療のためのものである。
【注2】医薬品の集中買付け:「集中入札買付け」とは、薬価の高騰を抑え、或いは薬価を引き下げるため、政府が分散する各病院の医薬品の買付けを一括にし、社会公開入札の形で、大口買付けを行うこと。
【注3】両高:最高人民法院(法廷)、最高人民検察院
【注4】走票:医薬品経営資格を持たない比較的固定した医薬品の販売ルート及び仕入ルートを有する個人が、合法的な医薬品経営資格を有する企業に一定の金額の税金、或いは「管理費」を支払い、同企業に所属すると見せかけ、個人の医薬品経営行為を「正当化」する行為。



