第4回日中製薬交流会参加レポート
2009年10月25日~29日、第四回日中製薬交流会が円満に開催されました。
日中製薬交流会は大阪府並びに大阪市と上海市政府の共同開催で、毎年11月に、大阪と上海で交互に開催されます。今回は4回目の開催となり、参加者の方々は北京、上海両市を訪れました。
今回のプログラムは中国一流綜合病院の臨床試験実施施設の見学、医薬品申請登録担当政府部門の責任者を講師としたセミナー、日本の製薬メーカ・日本企業の中国現地法人・中国製薬メーカ担当者の懇談会(Aグループ:製造、販売等に関する交流、Bグループ:臨床試験に関する交流)・懇親会、及び北京、上海医薬品部会との意見交換会で構成されました。「中智医誌」のレポーターは上海でのセミナー、懇談会(Aグループ)と意見交換会に参加させて頂き、大会の盛況を実感致しました。
セミナーでは、日中双方の政府担当者が両国における治験の現状を紹介し、上海SFDAの方が治験関連法律の解読を行いました。会場には日本企業の参加者だけではなく、中国企業からの参加者の姿も大勢見られました。
その後の懇談会と翌日の上海医薬品部会との意見交換会では、外資系企業が中国での治験の実情、日本の製薬メーカ及び医薬品の中国市場への参入について、議論を行いました。以下には幾つかのテーマをまとめて報告致します。
テーマⅠ.中国業界有識者から見た日系医薬品関係企業のイメージ 
● 中国に進出した日系医薬品関係企業は、中国に対して実務的にある程度理解はしているが、完全に理解することは難しいので、これからも引き続き、各界からのサポート、アドバイスを必要としている。
● 一方、まだ進出していない企業は中国進出に対して様々な不安感を抱えている。主には以下の4点が見られる。
①中国市場に入ると、製品の管理が確実に実施できるかどうか?
②中国で発売すると、製品がコピーされる恐れがあるのではないか?
③中国市場にすでに類似製品がある場合、進出すべきかどうか?
④コストダウン、資金回収周期を短縮するには、中国での販売方法として、代理店を立てるべきか?小分け包装にするか?それとも現地で工場を設けるべきか?
● 現在中国では、海外の中小企業の中国進出に専門的なコンサルタントサービスを提供する機構がまだないため、企業が自社で市場調査を行い、コネクション、情報、パートナーを探さなければいけない。その結果、コストが高くなるだけではなく、挫折もしやすい。
(上記の問題に関しては、解決方法はある。しかし、中国国内のしかるべきサポーターやパートナーが必要。政府の応援を得ると、より問題が解決しやすい、と上海当局の方が語った。)
テーマⅡ.中国での治験について
● 輸入製品の中国での治験の申請に関しては、まず海外で第Ⅰ相を完成しなければならない。しかも治験の承認(約1年間かかる)が必要。GCPに関して、日本国内でのやり方に比べると、資料が煩雑。いかに迅速に資料を作成するかが肝心。
● 中国では、IND制度があるので、韓国などIND制度が実施されていない国より、開始するには時間がかかる。
● 中国の省レベル都市の大病院の中では、外来患者数が年間200万人以上に達している機構が多くある。コストは比較的低く、疾患の種類も豊富なので、治験を開始するまでは時間がかかるが、開始したら進展が早い。注意すべきなのは、臨床施設のレベルが低いということ。
● 現在SFDAの記録により、欧米企業が中国で共同治験を行った先例があるが、日系企業においては、共同治験の実績はまだないことが分かった。中国ではIND制度があるので、レギュレーション上、他国と同時に臨床試験を開始することは難しい。
● 日系企業が中国で治験を行い、その結果は日本でも使えた。(共同治験ではない)。
● 中国で治験を行うことの付加価値:日本の厚生労働省で製造販売承認を受けた医薬品の中国での輸入登録は中国のローカル企業より、制限が遥かに緩く、成功しやすい。
● 中国で治験の承認を取ることはそう難しくない。統計データ、エンドポイントも使える。しかし、企業にとっては、承認より販売戦略が肝心。2~3年で投資資金を回収することは困難。
テーマⅢ.中国進出について
● 中国では、人口が1000万以上の都市は116カ所もあり、市場が非常に大きい。
● 中国では、資金力、生産力、販売ルートを有しているローカル大手製薬メーカは良い製品・技術を有している外資系企業との提携に前向きな態度を示している。また中国でGMP基準に合格した工場も多い。しかし、日中間の需要と供給の情報交流を行うチャンネルが不足しているため、パートナー探しは難しくなっている。
● 中国市場に参入する製品が新薬の場合、そのメリットが大きい。なぜなら、先発医薬品や市場に競合製品がない場合、薬価の設定に関しては、企業に発言権がある。新薬でない場合、模倣薬が多く現れる恐れがある。尚、中国の医療費清算制度では、甲(政府70%、個人30%負担)、乙(政府30%、個人70%)、丙(個人100%)3種類がある。輸入薬の場合は乙に適用される可能性が多いので、甲に適用する中国製の類似医薬品との競争がかなり厳しくなる。
● 製品、薬価以外に、その他の販売に関係する要因も注意すべき。例えば、中国では最小分量の医薬品を箱ごと患者に渡さなければならない規定がある。日本のように、薬剤師が医薬品をバラにして、患者に渡すことはできないので、中国市場に参入する医薬品の包装などもすべて中国の実情に基づいて調整しなければならない。
● 中国での事業のスピードアップを実現するには、ローカル企業と提携することが必要。中国ローカル企業との付き合い方が重要である。広大で、人口も民族も多い中国に対して、各地の地域性を重視することが肝心。
その他、実務的なQ&A:
Q:日本国内で発売されているOTC薬を中国に持ってくる場合、どうすればよいか?
A:4つの段階を経る。
- Step1.中国での申請代理人を置く。自社が中国国内で駐在機構を設けるか、中国の資質のある企業に委託することも可能。
- Step2.日本審査部門(厚生労働省)に提出したすべての資料を中国SFDAの基準に合わせて、審査用資料を作成。
- Step3.審査結果を待つ。
- Step4.許可される場合、SFDAから当該医薬品の「輸入登録証」が発行される。国内の代理店を通して、販売することが可能。
Q:日本で申請中のものは中国で承認を取れるか?
A:CPP(Certificate of Pharmaceutical Product)、FSC(Free Sale Certificate)が必要。ないと難しい。
Q:中国の病院の入札買付け方式が変わったか?
A:2009年から、省レベルの入札1つのみに絞られ、市レベルの入札がいらなくなった。有力病院が入札ではなく、自主購入した例もがあるが、現段階ではまだ数が少ない。
Q:血液の海外への持ち出しは可能かどうか?
A:血漿、血清の場合は可能。血球が入っている場合はだめ。SFDAへの事前申請が必要。1年間かかる。SFDA、患者、税関の同意が必要。
上記は上海医薬品関連当局の責任者や、日系企業の中国現地法人の担当者の方々から伝授頂いた情報をまとめたものです。あくまでも、今回の大会にご参加できなかった中智医誌の購読者の皆様の参考用に編集致しました。様々な情報を共有して下さった今回の大会の参加者の皆様には厚くお礼申し上げます。また、貴重な勉強と交流の機会を下さいました主催者の皆様にも、心より感謝を申し上げます。
ありがとうございました!
――「中智医誌」編集部



