都市と農村部の住民に9種類の無料公共衛生サービスを実施

2009年8月10日

 7月25日に開かれた中国経済体制改革研究会主催の 「発展途上国における都市・農村一体化基本医療衛生サービス体系の構築」フォーラムにて、国家発展改革委員会(「発改委」と略す)社会司 副司長の王 東生氏は、都市と農村部の住民が「国民健康ファイルの作成、健康教育、免疫計画、伝染病予防・治療、児童保健、妊婦・産婦保健、老人保健、慢性病管理、重度精神病患者管理」など、9種類の公共衛生サービスを無料で受けられるようになった、と発表した。

 ここ数年、中国では「はしか、手足口病」など数種類の古典的な感染症の患者が増加している。業界では、これらの現象は公共衛生領域における経費、人員の不足に関係があるとみている、即ち、政府の医療システムの構築は着々と進行しているが、それに対する人的、金銭的投資不足が原因ではないかとみており、業界関係者は政府に公共衛生機構への人員・費用の投入を呼び掛け続けてきた。

 これに対して王氏は、公共衛生機構施設への予算は、すべて預算管理枠に入れられ、専門公共衛生機構の人件費、設備投資費・公用経費及び営業費用は政府の予算により割振られることになった、と述べた。 
 

国家公共衛生サービスの枠組みの設定

 政府は公共衛生の公共性と重要性から、これへの資金投入と、民衆への無料サービス実施は必要であると認識を統一した。今回の新医療改革では、9種類の範囲を制定した。

 まずは今年から中国全国で統一した国民健康ファイルの作成をスタートする。

 国民健康ファイルは、医療情報リソースの基本データとして、医者が患者の健康状況を随時、全面的に把握でき、病歴を調べる時間の節約ができるため、医者がより有効的に診察を行うことに役立つ以外に、国家の衛生主管部門が全国民の健康状態、傾向などを把握するための主要なツールとなる。

 今まで、中国はこの領域における財政補助が不足していたため、関連政策が不十分であるという問題点が存在していた。
 先日、国務院が公布した「医薬衛生体制5重点改革2009年活動計画」にも、今年の末までに、都市部住民の標準健康ファイル作成率を30%、農村部住民のファイル作成トライアルにて、農村人口の5%前後の作成率の達成を目標とすると明示している。

 そのほか、健康教育、免疫計画、伝染病予防・治療、児童保健、妊娠・産婦保健、老人保健、慢性病管理、重度精神病患者管理も政府の無料公共サービスの範囲に組み入れられている。このうち、慢性病の予防と早期発見・早期治療が公共衛生の重要な内容としている。

 王氏は、「中国で、慢性病の管理・予防はまだ十分に重視されておらず、健康教育及び関連措置はまだ非常に脆弱である」と述べ、その根拠として、例えば、現在中国では脳血管疾患、呼吸器疾患、心臓病が3大死因であり、毎年約300万人が心臓・血管疾患が原因で死亡、心筋梗塞発病者約50万人、半身不随患者約200万人、中国全国の高血圧症患者は2億人前後であり、糖尿病患者数は4,000万人、世界で糖尿病患者数が最も多い国になっている、と一連の関連データを示した。

 「慢性病の増加が巨額な医療費用の原因となった」
 現在、高血圧症、脳血管疾病、悪性腫瘍、心臓病への医療費用はすでに1,200億元余りに達しており、総医療費の21%を占めている。
王氏は「これらの状況から、慢性病の管理、予防及び早期発見・早期治療を公共衛生分野に入れるべきである」と分析した。

 また王氏は、農村の婦女の入院出産の普及、15歳以上の住民向けB型肝炎ワクチンの追加接種、農村の出産適齢期の婦人向けの無料での葉酸補充、貧困な白内障患者向けの無料手術など、9種類の公共衛生サービス以外に、今年から、中国政府は、例えば一部の新しい重大公共衛生プロジェクトの実施を予定している、と述べた。

 7月25日のセミナーで、中国医師協会の殷大奎会長は「農村の慢性病羅患率が著しく上昇している」と指摘した。それは農村では相応する公共衛生サービスが乏しいことと関係している。
 

公共衛生機構はすべて予算に組み入れる

 民衆が上記の無料公共衛生サービスを受けるには、それに応じたサービス機関の建設及び運営経費が必要になる。

 王氏は「合理的な人員の編成、賃金水準及び経費基準の設定を基本条件として、公共衛生機構の予算はすべて預算管理の枠組みに入れられる。」と述べた。

 中国疾病予防コントロールセンター性病エイズ予防コントロールセンターウイルス及び免疫研究室の邵一鳴主任は「SARS以来、各レベルの政府機関は疾病コントロールシステムの構築を非常に重視しており、関連施設・設備などの基盤建設に対する資金投入を拡大した。しかし、各レベルの疾病コントロール機構の人件費、運営費用が依然として不十分である。」と指摘した。

 2004年の調査データによると、中国疾病コントロールシステムの実質経費総額は117.7億元、うち約56.7億元(人件費15.2億元及び運営経費41.5億元)が不足。行政区分のレベルが低いほど、地方政府の資金投入の割合は低く、機構自身が調達する資金の割合が高くなっている。

 例えば、県レベル疾病コントロール機構の人件費の自己調達率は37.6%、運営経費は65.8%にも達している。
 邵一鳴主任は、中国公共衛生機構の財政難の現状を表すデータとして、国家疾病コントロールセンターにも同じ問題が存在しており、2008年末の統計によると、約2,000名の職員を抱える中国CDCの人件費の赤字は9,900万元余りに達していることを紹介した。

 それに対し王氏は、新医療改革方案により、疾病コントロールセンターなどの専門公共衛生機構の人件費、設備投資費、公用経費及び営業経費は、政府の予算により割振られる。政府が設立した郷鎮衛生院、社区衛生サービスセンターなど機構の人件費、担当する公共衛生サービスの経費は「定額定項」(特定したプロジェクトに決められた金額を与える)、及びサービス購入の方法で解決できる、と述べた。
 

情報源:「21世紀経済報道」
 

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