2008年第四半期 中国医薬品業界の発展予測

 2008/11/19

一、世界金融危機が医薬品業界へ及ぼす影響は限定的

 2008年第四半期の国際経済環境は大きく変化し、世界経済の成長はより緩やかになり、インフレの圧力がさらに強まるとみられる。

  世界金融危機は中国のバブル経済、消費者及び投資者の自信にダメージを与えただけではなく、実体経済(注1)にも影響を及ぼしている。世界金融危機は当分続くとみられ、各国が講じた対策が効果を発揮されるまでには、一定の時間が必要だと予測される。

 一方、中国経済は調整期に入っており、世界経済の成長の減速と共に中国の経済成長もある程度緩やかになる模様。中国経済の発展は、「低コスト型」から「イノベーション力主導型」へと変化する転換点にあり、上記の原因の影響を受けることも考慮すると、今後の中国経済の成長は楽観的とは言えない。

 金融危機の影響を受けても、医薬品業界自身は成長する力を持っている。全国民向け医療保険制度の実施は国内の医薬品のニーズを拡大させ、基礎医療機関の建設及び疾病予防システムの構築は、医療機器、ワクチンなどへの需要が増加させる。

 また、海外先発薬の特許切れによる新しい市場の誕生も国内医薬品業界の成長に新たな可能性を与えることになる。

 上記の理由により、2008年度第四半期の医薬品業界は穏やかに成長し、利益の増加率は以前と比較するとやや緩やかになると予測されるが、全体的な経済環境と比較すると、医薬品業界は高度成長を果たし、経済環境に影響されにくい業界の特徴が顕著になると予測される。

 

二、医薬業界が国の政策改革の「特恵時期」に入る

 国際金融経済情勢の変化、海外市場のニーズの縮小による影響を受け、「いかに国内市場を拡大するか」が中国政府の2008年度第4四半期の重要なテーマになるだろう。

 国家が現在の低水準の基礎医療衛生システムを整備するために投入する資金は、国内市場拡大の重要な原動力となる、即ち、基礎医療衛生サービス施設などの建設・整備への投資により国内の消費力が高められ、その消費力の上昇は成長を促進させ、国民生活水準の改善と経済発展の二つの効果が得られると考えられる。

 11月14日、「医薬衛生体制改革への意見募集」活動の終了は、中国の医薬品業界が体制改革の「特恵時期」に入ったことを意味している。

 医療保障体制によりカバーされる人口数の増加及び医療保険基準の引き上げにより、一般国民の医療に対するニーズは大きく拡大されると考えられる。

 また、機能性・品質が優れた製品、優秀な企業管理能力及び販売能力など、コア競争力を持つ医薬品メーカーは、医薬衛生体制の改革により長期的に実質的なメリットを得られるであろう。そして、医薬品市場規模拡大の受益者である医薬品貿易業者にとって、企業の営利能力は企業の経営効率の良さに左右される。

 ただし、医薬衛生体制の改革は関係各方面の既存利益に関わっているため、各方面の利益のバランスの調整は今回の改革が順調に推進される要になる。

 政府による医療衛生システム整備への資金投入、及び医療保障体系健全化への取組みは、医薬品業界に対する国内の需要拡大を加速させることが予測できる。
 
 また、医療衛生事業への資金投入は医薬品業界の売上げを引き上げるだけではなく、一般家庭の医療への出費を削減させることになり、国民の消費心理を楽観的にさせ、他の業界への消費を刺激する効果も期待できる。よって、社会経済全体の活発化を促進する効果が多いに期待できると思われる。

 

三、農村医療改革は医薬市場拡大の重要な原動力に

 2008年第四半期に、中国農村医療衛生体制改革が正式にスタートした。

 中国共産党第17期中央委員会第3回全体会議(三中全会)で「農村改革・発展の推進におけるいくつかの重大な問題に関する決定」が検討・決議され、全体的な中国の農村経済発展の構想図が描かれた。

 三中全会では、「都市及び農村部の基本公共サービスを著しく均等化させること」と「農村における基本生活保障、基本医療衛生制度の更なる健全化」が2020年までの目標として提起された。

 社会主義新農村の建設、都市部と農村部の経済・社会発展を一体化させる構造を築くには、公共財政がカバーする農村の範囲を拡大し、農村の公共事業を発展させ、多くの農民に医療上の保障を与え、農村医療衛生事業を発展させなければならない。

 上記の理由により、第17回三中全会後、国家財政がカバーする農村の範囲が拡大され、農村の公共事業を発展させるためにより多くの資金が投入されることが予測できる。

 その投入資金は医薬品市場の成長の大きな原動力となり、また10億の農民の医療保障体系の利用も国内医薬品市場の拡大に一役を担うことになる。

 また将来、農村において、提供される医薬品は基本薬物制度に大いに関わるため、新農村合作医療事業(新農合)が調達した資金の金額の上昇は直接に基本医薬品目録に掲載された医薬品の生産と販売にメリットを与えることになり、当然、それらの医薬品のメーカーも新農合の受益者になる。

 

四、化学原薬価格の変動

  環境保護政策の実施は化学原薬業界に大きな悩みを与えた。化学原薬は典型的な高汚染型産業である。環境保護意識の向上とともに、多くのグローバル医薬品メーカーは自社の化学原薬の生産規模を縮小している。中国では、省エネ・環境保護政策の実施とともに、化学原薬に関連する審査・許可も厳しくなる一歩であり、2008年第4四半期の化学原薬の提供は減少傾向が見られるかもしれない。
 
 一方、環境保護政策に適応できるよう、業界新参業者に対する企業整備レベルの要求基準が引き上げられ、化学原薬の大手企業は自社の生産設備の整備を加速させている。ゆえに、将来、市場のニーズは整備が整った大手メーカーに集約されることが予測できる。よって、環境保護政策は医薬品業界の生産の集約化を促進させる効果があり、2008年第四半期は化学原薬業界の構造変化が以前より大きくなると予測される。

 現在、化学原薬の大口取引価格の上昇周期の延長傾向がみられているが、世界経済の発展停滞の影響を受け、化学原薬の大口需要家のニーズも減少される可能性があるため、2008第四半期の化学原薬の大口取引価格は下落し、新たな(価格)波動周期に突入する可能性があると予測される。

 国際農産物市場は国際金融危機の影響を受け、継続的な価格の大幅下落にみまわれ、中国国内の中小規模の飼料メーカーの経営状況が苦しくなり、資金面のプレッシャーは大きくなる一歩である。

 また、今回の金融危機が与えるビタミン剤の輸出への影響の大きさも考慮しなければならない。現在、ほとんどの企業がビタミン剤の後場価格の継続的な下落を見込み、小口多ロットの買付策略を講じているため、市場のニーズは低迷している。

 抗生物質市場の需給はビタミン剤市場に類似しており、また市場の競争がより無秩序であるため、経済の不景気が抗生物質製品の価格に及ぼした影響はビタミン剤よりさらに大きく、価格はさらに下落する可能性がある。

注1実体経済:(real economy)とは、経済システムのうち消費財や投資財の生産・分配に関わる部分のこと。


情報源「中国投資諮詢ネット」

 

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