2008年1~2月 中国保健用医薬品の輸出入の現状分析

 全体的にみると、2008年度の中国保健用医薬品の輸出入は順調な成長を維持していますが、いろいろなマイナスな要素、特に国内政策要素の影響を受け、最近数ヶ月の輸出の上昇幅には下落傾向が顕著に現れ、2007年11月~2008年2月の輸出総額の前期比はそれぞれ16%、3%、1%、-16%と推移しました。

 現在、中国全国では14,427の会社が輸出入の実績を持っており、2008年1~2月は、ファイザー社、浙江省医薬保健品輸出入有限責任公司、ノボ ノルディスク ファーマ(中国)、Xian - Janssen Pharmaceutical Ltdなどの数社が、輸出入額ランキングの上位を占めました。医薬輸出入地域ランキングでは、江蘇省が1位で、総額12.5億USドル、前年同期比33.3%増;2位は上海(11.9億USドル、同期比24.4%増);3位は浙江省(9.5億USドル、同期比30.4%)となっており、この3つの地域が中国医薬輸出入総額の50%を占めました。

一.2008年度中国保健用医薬品輸出入の成長傾向の主な特徴

(一)輸入の増率 > 輸出の増率
 1~2月の中国保健用医薬品の増率は24.72%増で、2007年度の平均増率より0.9%下落しました、依然と一定な上昇幅を保っており、中国保健用医薬品の市場シェアとニーズには大きな変動がなかったことを示しました。しかし、輸入に比べ、輸出の上昇幅は2%減となり、輸出の下落傾向が強くなりました。
 
(二)アジア、ヨーロッパ、北アメリカをメインとする「伝統的な市場構成」は変化せず
 1~2月の間、中国は196ヵ国と地域に医薬、医療機器・器具関連貿易を行いました。アジア、ヨーロッパと北アメリカは中国の主要な貿易相手で、貿易総額は中国輸出入総額の92%を占め、うち、アジアは38%、ヨーロッパは35%を占めました。国別では、アメリカ、日本、ドイツ、インド、韓国が中国最大の貿易相手国であり、うち、アメリカは総額の18%、日本は10%余りを占めました。
中国の医薬関連製品は212ヵ国と地域に輸出されました。アジア、ヨーロッパと北アメリカ市場はその89%を占め、アメリカ、日本、インド、ドイツ、韓国は上位の5ヵ国であり、輸出額が中国輸出総額の47%を占めました。

(三)輸出入のバランスが良くなる傾向が現れ、バイオ医薬品、西洋薬の既製薬の輸出入成長率が比較的に高い
1~2月、西洋薬類製品は依然と中国輸出入製品の主体として、総額の66%を占めました。うち、医薬用原料は53%、既製薬は9.6%を占めました。
近年、医療機器の輸出入が比較的に大きな成長を見せ、医療関連製品輸出入の30.7%を占めました。うち、病院用診断・治療設備が14.6%を占め、中国医療関連輸出入製品のバランスが持続的に良くなる傾向を示しました。
1~2月のバイオ医薬品の成長率は40%、西洋薬の既製薬の成長率は37.8%に達しました。バイオ医薬品の輸入が明らかに輸出より上回りましたが、西洋薬の既製薬の輸出と輸入の成長率のバランスがよく、去年からの順調な成長が維持されたことが反映されました。ハイテク・付加価値の高い病院用診断・治療製品の輸出の成長率は、輸入率より5.3%を上回りました。

(四)大口原薬の輸出価格が持続的に高騰
環境保護基準の引き上げ、原薬生産企業への「省エネ・減排出」の改革要請の強化、また北京及び、周辺五省市に五輪開催時「臨時排出削減措置」の公布が一部の主要原薬産地の企業の生産力を制限してしまい、原薬の価格が全体的に高騰し、一部の大口原薬の価格が大幅に上昇しました。例えば、ビタミンCの平均輸出価格は6.9USドル/kg(103%増);サッカリンナトリウムの平均輸出価格は12USドル/kg(227%)となり、輸出状況が長期間不調であったアセトアミノフェンも18.6%増になりました。

(五)中薬類製品の輸出入がマイナス成長となり、抽出物の輸出が大幅に下落
1~2月中薬類製品輸出入の前年同期比が2.75%減となり、うち、中薬の輸出が8.16%減、抽出物が34.4%減となりました。生産コストの持続的な上昇(抽出物5~10%上昇、中成薬10%上昇)が今回下落の主な原因となり、また人民元の切り上げ、輸出税金還付政策の調節による二重の影響で、輸出による利潤が得にくくなりました。

二、2008年度中国保健用医薬品輸出入傾向の予測

 国際医薬品市場の構成とニーズに根本的な変化がないため、今年度の中国保健用医薬品の輸出入は安定した成長を保ち、増加率は20%前後と予測できます。しかし、製品の種類別に直面する状況が違うため、それぞれの成長傾向も違うでしょう。
輸出に関しては、中薬製品の状況は全体的に楽観視できません。生薬、飲片の輸出が小幅に増長、植物抽出物の輸出が継続的に下落、中成薬輸出の増率が緩やかに成長すると予測します。西洋薬原薬の輸出価格が持続的に高騰し、輸出量が減少、或は増率が低減する可能性があります。しかし、輸出額は増加する傾向を保つでしょう。西洋薬の既製薬とバイオ医薬品が高い増率を保ち、医療器械類製品も穏やかな増率を保つでしょう。
西洋薬の既製薬、バイオ医薬品と病院用診断・治療設備などは依然と輸入製品のメインとなります、中国国内製薬と生産水準の成長により、上記製品の輸出と輸入は平衡に成長するでしょう。

 具体的に分析すると、2008年度中国医薬品輸出入の傾向は以下の新しい特徴を持つと思われます。

(一)新しい産業政策が、中国医薬品対外貿易の構成に重大な影響を与える。
長い間、医薬産業は政策に大きく影響されてきた産業の一つです。特に2007年度初頭から、医薬産業に関する政策、措置などが多く公布され、これらの政策要因の影響が2008年度にも継続し、しかも、その効果が顕著に現れるでしょう。
新しく実施された『薬品注冊(登録)管理弁法』は製薬企業、特に実力のある製薬企業の「自主研究開発への投入」、「イノベーション力の向上」、「企業内部から発展の原動力の発掘」、或は「外部との技術合作による新しい突破口の探索」を促進する効果があると見られます。
国家が公布した『産業構造調節指導目録(2007年版)』では、ビタミンC、ペニシリンなど「両高一資」(注1)製品の生産を制限したため、企業生産の総合的なコストが大きく増加することになります。また、現在、中国国家医薬監督部門は『医薬品輸出管理弁法』及び『医療器械輸出入管理弁法』の公布を計画しており、国家が輸出入市場秩序への規制力を向上させようとしています。新しい監督管理環境に置かれ、一部の弱小、或は経営資質が不十分の企業は淘汰される状況に直面することになるでしょう。ハイエンド商品と市場をターゲットに、自主的にイノベーションを行い、更に高い付加価値を創出することが「勝ち組」製薬企業の第一選択になることが予測できます。粗放型の対外貿易成長方式が産業内部の調節により、新たな変化が現れる可能性があります。

(二)中国の国産企業が新たなチャンス期を捉え、国際市場の開拓を加速化にさせる。
 2008年に、全世界の医薬市場は5~6%成長し、また売上総額約200億USドル分の医薬品の特許が切れ、いくつかの主な商品が世界主流市場での独占期が終えるため、ジェネリック薬市場にとっては大きく成長するチャンスを迎えることになります。2008年、ジェネリック医薬品はアメリカの処方薬の三分の二以上を占めることになります。ドイツ、日本、スペイン、イタリアなどの国もジェネリック医薬品の市場シェアを引き上げるため、それぞれ措置を講じました。
GSK社、アストラゼネカ社などのグローバル企業が、中国に生産基地を移す動きを開始し、すでに中国で研究開発センターを設立しました。これから設立するグローバル企業も多く現れています。グローバル的医薬品製造の中心をアジアへ移転する傾向に影響され、中国もより多くの企業が期限切れ特権製品の製造、海外企業より多く原薬、製剤など製品の生産、研究医薬品臨床試験のアウトソーシングなどを通して、国際的協力に参加するでしょう。

(三)中国製薬企業は国際貿易の展開により、新たな挑戦に直面することになる。
近年、「中国製」製品に対する指摘が世界中で起き、医薬関連製品においては、「パナマ偽薬事件」で世界に注目されました。国際医薬貿易に関しては、中国にとって不利な要素が以前より比較的に明確に現れました。
 中国政府の輸出入の構造適正化を目的とする努力が、税金還付の更なる引下げ、人民元の切り上げなどの面で現れ、中国医薬関連製品の国際市場での競争率に影響を及ぼすでしょう。
 国際医薬市場での貿易摩擦が多様化になる傾向を表しました。新しい貿易保護主義の実施手段、方式、及び既定の目標が今までと違い、「人権」、「社会的責任」、「環境保護」など非関税障壁など、中国医薬製品の発展にとって不利な要素が増えるでしょう。欧米が相次いで新しい規範法令を公布することにより、中国保健用医薬品の輸出にとって、不安定な要素が多くなり、中国製薬企業が国際的医薬貿易を展開することがより難しくなるでしょう。


注1「両高一資」:高エネルギー消費・高汚染・資源消費

情報源:「国務院開発研究センター」

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