中国独占禁止法の実施が医薬業界に及ぼす影響

 「中華人民共和国反独占法(独占禁止法)」の実施が着々と進んでおり、中国商務部に「反ストラス調査局」を設立する予定です。この法規の実施が医薬業界に及ぼす影響について業界人は注目をしています。

 長年の準備を経て、2008年8月1日より、「中華人民共和国反独占法」(以下、「独占禁止法」と称す)が正式に実施されることになります。関連する準備作業のカウントダウンがすでに始まりました。

 先日、商務部からの情報によりますと、商務部は「独占禁止法」が実施される前に、反ストラスに関する調査を担当する司局級の官庁部門を設立し、中国国産、外資企業の買収合併中の「経営者集中」(注1)に関する審査、法律の執行を統一に行う予定です。「中国国家発展改革委員会」と「中国国家工商総局」も新しい部門を設立し、それぞれ「独占禁止法」に規定された「価格独占」の審査と「市場支配地位の乱用」に関する審査を担当させる予定です。「独占禁止法」により設立された「中国国務院独占禁止委員会」の事務局も商務部の中に設けられる予定です。

予防作用

 中国医薬企業管理協会常務副会長の于明徳氏は「「独占禁止法」草案の作成だけで、十数年間をかかりました。「独占禁止法」の主な目的は中国国家産業の安全を保ち、外資企業が中国で行う買収合併などの投資行為を審査、制限することであり、海外ではよくある事です。一部国家の基本的な産業に関しては、外資の参入は禁止されており、資本のみの参加も禁じられています。一部競争性のある産業に関しては、以前外資の参入について、関連する規定はありましたが、法律として制定されたことはありませんでした。」と言いました。

 中国の医薬業界の発展が比較的に遅れており、医薬企業の実力と規模は自動車、電信、電力など業界の企業よりはるかに小さく、生産集中度が比較的に低いため、それほど重視されていませんでした。

 「しかも、医薬産業は完全に市場化となっており、ほかの中国の国民経済の根本に関係する業界に比べると、ほとんど特殊性はありません。」と于明徳氏が言いました。

 しかし、中国がWTOに加入した後、外資企業は「中国で投資をして工場を設立する」という単一な方式より、「グローバル的な買収合併」、つまり中国企業の買収を中国市場への主要参入方式として選ぶようになりました。また、外資医薬企業が中国市場を占める割合は年々増える一方であり、中国国産医薬企業が中国市場を制御する力は弱くなりつつあります。一部の業界有識者は外来資本による買収合併の加速化に対して、心配を感じていました。

 LEHMAN法律事務所の郝俊波弁護士は「市場経済が実施されてから、まだそれほど時間が経っていません。また、ほかの様々な原因により、現在中国の医薬企業の規模は大体比較的に小さく、世界トップレベルのグローバル医薬企業ほど、市場を独占する実力を持っていません。しかも、産業の集中にはコストを低減させ、効率を高める効果がありますので、「独占禁止法」の主な作用は過度の集中による独占を未然に防ぎ、よって、公平競争の市場環境をつくることです。中国企業に比べると、外資医薬業界の大手医薬企業のほうが「独占禁止法」に引っ掛かりやすいかもしれません。こうなると、企業間のギャップをある程度抑制でき、国産企業と外資企業間の競争の公平性には積極的な意義があります。」と言いました。

 しかし、「経営者集中の基準の制定方法」、「外資企業の買収合併に対する審査の実施方法」、「競争相手の責任免除問題」など、一部の論争がまだ解決できておらず、より細分化する必要があります。

独占買収合併の禁止

 欧米など先進国の医薬市場の発展スピードは徐々に減速していますが、中国の医薬市場は急成長しており、また中国市場の開放改革も加速しています。それと共に、グローバル企業が中国での買収合併の展開を加速する傾向が表れています。タイミングよく公布された「独占禁止法」は外資企業の買収合併の規範と強化に深遠な影響力を及ぼすでしょう。

 于明徳氏は「「独占禁止法」が公布された後、外資の中国医薬業界への参入に対する審査がより厳しくなりことは確かです。」と言いました。

 ある業界人の情報によると、今回「独占禁止法」の実施予定が原因で、いくつか商談中の外資買収合併案が座礁するかもしれません。そのことに対し、郝俊波弁護士は「世界各国の「独占禁止法」は自国の事情によって、それぞれの特徴を持っていますが、「独占禁止法」の主要内容のほとんどは、企業の合併に対するコントロールです。中国企業がほかの国で買収合併を行う場合、当該国の「独占禁止法」により制限されます。中国の「独占禁止法」の公布により、独占禁止審査を通して、他国(場合によっては、当該外資医薬企業の自国)で禁止されている、業界の独占を招く可能性のある買収合併行為を禁止することができるようになります。これは中国民族産業、国家利益、国家安全を守ることであり、重大な意義があります。」と言いました。

注1.【経営者集中】:経営者が合併、資産の買収、株の買収、契約の規定(連合経営、共同経営の場合)、人事手配、技術の制御などの手段で、ほかの経営者をコントロール、或いはほかの経営者に決定的な影響力を持つような状況。うち、合併は最もよく使われる経営者集中の手段である。

「独占禁止法」の第4章で「経営者集中」について定義されている。
(一) 経営者の合併
(二) 経営者がエクイティ、或いは資産の取得を通して、ほかの経営者を制御する権限を取得すること
(三) 経営者が契約などの方法を通して、ほかの経営者を制御する権限を取得、或いはほかの経営者に決定的な影響力を持つこと。

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