2007年度中国医薬品業界外資企業の十大事件

  多数の大手グローバル製薬企業が2007年も中国で一連の行動を起しました。これらの動きを以下のキーワードでまとめることが出来ます。
①「投資の拡大」(資本、研究開発、生産などを含む)
②「臨床試験の加速化」(中国でより多くの新薬臨床試験、及び国際多センター臨床試験
の起動)
③「OTC市場への「布石」」(バイエル社、ノバルティス社、メルク社など)
④「工商両側の力比べ」(西安楊森(Xian-Janssen Pharmaceutical)と南京医薬(医薬品流通業)、また、中美史克と消費者の間の対立事件)
⑤「商業領域への参入」(聯合美華(Alliance Bootsの子会社)と広州医薬の提携)

中国での「健康ニーズ」がさらに喚起され、医薬品業界が急速成長する時代背景のもとに、これらの世界の製薬大手が資本、研究開発、生産と販売領域の動きがすべて中国医薬品業界の成長と関連し、しかも中国医薬品産業の進歩を推し進めています。それは2007年度、中国医薬品業界外資企業の関連大事件にさらなる深い意味合いを持たせています。

キーワード:「投資」

1.イーライリリーグローバルベンチャーキャピタルが直接に中国に参入

 2007年11月7日,イーライリリーアジアベンチャーキャピタルファンド(以下はイーライリリーアジアVCと称す)中国区経営本部が上海で正式に設立されました。2007年6月、イーライリリー社がある中国医薬ベンチャーキャピタル機構に1000万アメリカドルを投入して以来、もう一つの大きな動きでした。
 調べによると、イーライリリーは今後5年内、中国の新薬領域に1億アメリカドルを投資する予定であり、イーライリリーアジアVCはその計画の重要な一役であります。イーライリリーグローバルの責任者が「アジア地区、特に中国経済の発展と共に、投資価値のある、将来性を持ち、資金援助を切望している中小製薬企業が増えつつあります。イーライリリーアジアVCがイーライリリー社の将来性のある医薬品企業の発掘を手伝い、また将来M&Aなどの業務提携の可能性もないとは言い切れません。」と発表しました。
 ベンチャーキャピタルに馴染みつつある中国医薬品企業にとっては、大手グローバル企業がベンチャーキャピタルの形で中国医薬品業界に参入することは一つ新しい風向計になっています。即ち、大手グローバル製薬企業が成長型企業へ直接投資する狙いはビジネス利益だけではなく、投資したプロジェクトを自身のグローバル研究開発体系に吸収する可能性が高いとのことです。
 大手グローバル製薬企業が後ろ盾としてベンチャーキャピタルを導入することは、中国の中小研究開発企業にとってはまさしく朗報です。資料によると、上海張江薬谷地域だけで、バイオ医薬品企業と研究開発企業数がすでに300社を上回り、その70%は新薬開発の研究を行う企業であります。それらの企業の多数は創業の初期段階で、資金、研究開発が必要な設備、実験場所の不足など共通の問題を直面しており、技術成果の産業化が厳重に制限されています。業界にベンチャーキャピタルの導入はそれらの企業に新しいチャンスをもたらす可能性があります。


2. Roche社が中国で医薬品開発センター(Pharma Development Center in China, PDCC )を設立

 2007年10月下旬、Roche社が上海張江地域で、Rocheの中国医薬品開発センターを設立し、中国で薬物の研究、医薬品の開発、生産・製造と市場販売など全体的なバリューチェーンを実現する考えを宣言しました。
2000年ノボノルディスク北京が中国薬物研究開発センターを設立以来、イーライリリー社、Roche社、ファイザー、ノバルティス社、アストラゼネカ社、グラクソ・スミスクライン社がそれぞれ中国での薬物研究開発計画を発表しました。業界内では、この期間が「グローバル企業が中国での研究開発を起案する絶頂期」と呼ばれています。目下、グローバル医薬品企業の中国研究センターで行われているのは薬物研究、即ち新しい化合物の発見をノードとしているのがほとんどで、薬物設計、臨床試験と最終目的の新薬登録申請まで完成したプロセスを体験したセンターはまだありません。
 グローバル企業の中で、Roche上海は最初に、薬物研究センターのほかに、比較的独立する医薬品開発センターを設立した企業です。その動きには少なくとも三つの積極的な意義があります。
第一、中国でのRoche新薬の発売をスピードアップさせます。現在中国でのグローバル医薬品企業の新薬の発売が欧米市場より4~5年ほど遅れています。中国医薬品開発センターの設立によって、Roche社の新薬がより早く中国市場へ投入することが可能になります。
第二、中国で医薬品開発センターを設立することによって、研究者たちが中国人人種と疾病特徴に適応する新薬の創出がより可能になります。
第三、より多くの中国研究機構、学者、臨床医がもっと早く、自主的にグローバルイノベーションへの参加を促進する効果があります。


3.ジョンソン&ジョンソンが所持する西安楊森の株数を増加

 2007年12月、西安楊森(Xian-Janssen Pharmaceutical)の中国側株主の4社が所持する株の37.5%をジョンソン&ジョンソンへ譲渡することが決定、開始しました。譲渡が完了すれば、ジョンソン&ジョンソンが西安楊森の株の70%、中国側の4社が30%を所持することになります。
 西安楊森製薬有限公司は1985年10月に、ジョンソン&ジョンソンの100%出資子会社のベルギーヤンセン製薬有限公司、陜西省医薬総公司、陜西漢江薬業股分有限公司、中国医薬工業公司と中国医薬対外貿易総公司の共同出資で設立された会社です。当時、登記資本の比率は中国側48%、外資52%であり、合資期限は50年でした。
 十数年間の中国企業との提携を通して、外資企業の中国市場への理解が日々深くなり、外資側が合資した医薬品企業の株所持数を増やすケースがよく発生しており、近年設立された合資企業の中に、外資側が90%以上の株の所持を要求したこともありました。


4.ワイス製薬が大幅に投資額を増加

 2007年11月初旬、ワイス社がすでにRMB2.2億元を投資した蘇州にある製薬工場に、さらに5,850万アメリカドル(約RMB4.4億元)を追加投資することを発表しました。これはワイス社が中国市場に参入して以来、最も高額な投資です。
ワイス中国側の情報により、今回の投資追加の主要な目的はワイス蘇州製薬工場の「善存(Centrum)」 と「鈣尓奇(Caltrate)」シリーズ消費保健薬の生産能力の向上です。2009年増築工事が完了すると、ワイス蘇州製薬工場の年間生産力は現在の16億錠から32億錠に上昇すると予測されています。
 ワイス社のグローバル業務内容のうち、西洋薬が90%、粉ミルクが10%ですが、中国では粉ミルクが85%、西洋薬が15%になっています。ワイスは中国での業務内容を西洋薬20%、粉ミルク80%と改定し、大規模な投資を通して、在中医薬品企業販売実績ベスト10のリストに加える目標を達成することを期待しています。

キーワード:商業

聯合美華と広州医薬が合資公司を設立

 2007年1月29日、広州医薬と聯合美華有限公司が 「27日、合資公司の設立に関する協議が締結された」と公表しました。協議によって、株券の譲渡と追加投資の方式で、聯合美華は広州医薬の50%の株を獲得することになります。 そのため、聯合美華は約RMB5.45億元(内追加投資額4.85億元)の現金を投入することになります。株の譲渡と追加投資が完了すると、広州医薬の資本金が4億元になります。一方、広州医薬の大口株主の広州薬業が所持する株が元の96.99%から50%に縮減することになります。
 今回のケースは中国医薬品商業業界最大の合資案例になります。2004年12月11日、中国医薬品商業業界への外資参入が解禁して以来、国内大手医薬品商業企業と外資企業の合作商談が頻繁に発生しましたが、3年間のあいだ、中国で独資、或はホールディング商業公司を設立したのがChina Zuellig Xinxing Pharmaceutical Co., Ltd.(Zuellig Xinxing)、米国BMP社、日美健薬品(中国)有限公司、日本華鐘高科医薬公司などわずか数社しかありませんでした。
 国外企業が中国医薬品市場に参入することを躊躇する主な原因は、一から自社ネットの構築、販売本土化のコストが高く、投入周期もかなり長く、それに中国の関連政策を完全に理解できないなどと見られます。中国医薬市場に参入する最もすばやい、しかも効果的な方法はM&Aを通して、中国国内医薬品商業企業と提携することです。中国医療改革の深化と共に、新しい医療体制改革方案が徐々に確立され、中国医薬品市場が大きな発展チャンスを迎え、外資の中国市場への参入もきっと加速化します。一定の規模があり、専門化水準の高い中国医薬品商業企業は外資が提携する重点対象として注目されるでしょう。

キーワード:臨床試験

GSK子宮頸ガン予防ワクチンがマカオで発売

 2007年11月1日、GSK社の子宮頸ガン予防ワクチンがマカオで発売されました。
数年前から黙沙東(メルク社)とGSKがそれぞれ全世界範囲で、子宮頸ガン予防ワクチンの大規模な多センター臨床試験を展開しました。情報によると、当時両社とも中国を自社のグローバル臨床試験体系に入れたかったが、実現できませんでした。2006年始め、両社とも中国国家食品薬品監督管理局(SFDA)に子宮頸ガン予防ワクチンの登録申請を提出しました。
 情報によると、SFDAがすでに子宮頸ガン予防ワクチンの中国での臨床試験を同意しましたが、中国で販売される時期に関してはまだ予測できません。

キーワード:OTC

バイエル社の東盛「白加黒」買収案が許可された

2007年10月11日、中国商務部が「拜耳医薬保健有限公司」(バイエル社)資本金の増加、及び「白加黒など風邪薬関連業務資産の買収を許可しました。
2006年10月25日、ドイツ・バイエル社と東盛科技が北京でM&A協議を締結しました。協議では、バイエル社は東盛の咳止め、風邪薬など非処方薬業務と関連資産、即ち「白加黒」、「小白」、「信力」3つのブランドと関連販売部門を10.72億元で買収し、しかも、引渡期間中、上記3つのブランドの業務実績が約束した基準に達すと、バイエル社は東盛にさらに別途1.92億元を支払うことが約束されました。即ち取引総額が12.64億元になります。
 Roche中国のOTC業務を統合した後、バイエル社が東盛のOTC業務を買収しました。進展が順調とはいえませんが、バイエル社が中国OTC市場に進出する決心が明らかになりました。Bayer Schering Pharmaの中国区総裁Liam Condon氏は「中国の国事情が大衆薬市場の膨大な需要を決定付けられました。グローバル医薬品企業としては、決してこの市場ニーズを見逃すことができません」と発言しました。Bayer Schering Pharma 2007年度業務増長の中心が大衆薬、特にOTC市場に設定されました。
 注目すべきことは、バイエル社が東盛のOTC商品だけではなく、その販売団体とネットをまるごと買収したことです。即ち、バイエル社は「白加黒」など商品のブランド価値だけではなく、東盛OTC団体の販売能力とネットワークに目を付けました。処方薬を得意とする外資医薬品企業は、実際にOTC市場ではなんの優勢も持っていません。ですので、今回の直接なM&A方式が高く評価されました。情報によると、その後、バイエル社が所有するOTC部門の商品から業務内容をすべて整頓し、バイエル社自社のOTC製品も整頓した新しいOTC販売ネットに加え、中国OTC市場での動きを加速化させる予定です。


ノバルティス チャイナがOTC業務を強化

2007年10月30日、北京諾華製薬有限公司(Beijing Novartis Pharma Ltd.)の劉貞賢董事長が上海で「諾華は禁煙補助薬の「尼派®(Nicotinell®TTS)」をOTC商品への転換、中美史克に販売委託した「蘭美抒」の回収、風邪薬、胃腸薬のOTC新薬の導入などを含むOTC商品を立て続けに増やし、3~5年以内に、諾華のOTC業務を以前の10%から1/3に引き上げる」と発表しました。
 劉貞賢氏は、以前諾華が中国のOTC市場が欧米と違い、65%以上のOTC薬が病院を通して販売されていると認識し、OTC小売市場の潜在力を重視しなかったこと正直に述べました。しかし、近年中国沿岸部、及び一部の大都市の薬局が急速に成長し、OTC薬の販売量がすでに総額の40%を占め、しかもその比率が依然として上昇傾向にある事実を、諾華がすでに認識しており、OTC業務を拡大するため、中国国内既存のメーカーを買収する可能性もないとは言えないと発言ました。しかし、商談の相手に関しては発表しませんでした。
2006年末から、諾華はOTC業務の全面展開計画を打ち出し、OTC事業部を設立しました。諾華OTC事業部中国区は独立した市場、人事、財務、薬品登録、販売などの業務部門を持ち、劉氏が自ら事業部の管理責任を担当しています。
情報によると、北京諾華の禁煙補助薬「尼派」は処方薬からOTC薬への転換申請中であり、2008年後半全国で販売される予定です。販売ルートに関しては、諾華は病院・薬局・スーパーマーケットなど全面的に展開することを重視しています。

キーワード:工・商両側の力比べ

西安楊森と南京医薬の対話

2007年4月28日に、南京医薬(医薬流通業)は西安楊森との2007年度の契約商談の中に利益問題が存在することを理由に、「4月18日から、正式に新しい契約を締結するまで、全面対話の方式で、西安楊森と協議して、問題を解決しなければならない」と発表しました。この発表が有史以来、中国医療業界最大の工商両側の衝突を引き起こしました。
5月31日、南京医薬が6月5日から、江蘇、安徽、福建など地方の関連薬局で、西安楊森の商品が在庫切れになり、同質で、価格がより安い薬品を代わりに販売する予定を発表しました。
 南京医薬と西安楊森はすでに18年間提携してきました。2006年度、南京医薬が販売した西安楊森商品の総額は4.18億元に達し、西安楊森の中国国内販売総額の10%以上を占めました。しかし、南京医薬の代理コストは3.89%で、販売粗利は1.55%~1.74%しかありませんでした。
 南京医薬は、「2006年度西安楊森各品種製品の販売量に基づいて、5年間を単位に、20億元の発注契約を締結し、西安楊森は発注に従って生産を行い、生産に関連する利益を得る;南京医薬は代理を担当し、販売に関連する利益を得る」新しい提携モデルを提案しました。
 この提携モデルが実施されれば、西安楊森は南京医薬の上流「OEM」メーカーになってしまいます。しかし、南京医薬に割引販売をすれば、西安楊森自身の利潤が低減されるほか、全業界の商業のルート利益の再分配にも影響してしまうことになります。 論議がすでに半年間以上も続きましたが、双方が満足できるような解決案はまだ見付かっていません。
生産側と流通・販売側間の問題は以前から存在しています。中国医薬品商業の集中度の向上と共に、医薬品商業業者の発言力も強くなり、医薬品産業チェーンにおける末端(販売側)と上流(生産側)の利益の再分配は必然な傾向だと業界の有識者が予測しました。


中美史克と公定価格薬局間の衝突

2007年10月以来、北京、広州、成都など地方の一部の薬局で、中美史克の「芬必得」、「新康泰克」 など売れ行きの良い薬が在庫切れとなり、それと同時に、上昇幅がそれぞれ違いますが、各地の中美史克所有の商品の小売価格が上がりました。一部の地区では、小売価格の設定に関する意見の不一致が公定価格薬局と中美史克間の衝突を起しました。
 季節の変化と共に、生産企業が各種のルート、在庫量などの調節を通して、市場調節を行うのはごく普通の商業行為ですが、一部の小売業者が「ルートの調節は、企業が来年の出荷価格の値上げのための準備である可能性を排除できない」との心配の声も上りました。
 中美史克は「値上げ説」を直ちに否定しました。「在庫切れ」事件については、「小売企業の価格差は各業界に存在する普遍な現象ですが、正常な卸し、小売価格チェーンを維持するため、すべての製品は市場が受け入れられるような合理的な価格水準を持つべき。そうでないと、消費者に提供するプロのサービス品質に影響する可能性があります」、「中美史克はサプライチェーンにあるすべての流通環節が相応の利潤を得て、持続的に発展できることを願っています」と回答しました。
 2006年度OTC大手中美史克の利潤が大幅下落しました。2007年度の上層管理層の大型人事異動は中美史克の現状から脱出する決心を表しました。中美史克の新任総経理呉漢栄氏が「快速消耗品分野のいくつかの経験を新しいOTC事業に導入する予定」と発言しました。ルートの調節はまさしく中美史克の最初の動きに当たるでしょう。それもOTC競争の相当重要な一環であります。

情報源: 医薬経済新聞

ページ先頭へ

・(2009年9月28日)中智が「新中国60周年60ブランド」を受賞 ・(2009年6月15日)中智医誌をリニューアルしました! ・(2008年8月20日)中智グループが中国企業500強にランキング ・(2008年5月8日)中智日本支社張俊支社長が胡錦濤主席との写真。
中国国際技術智力合作公司 日本支社
文字サイズ変更
標準特大
サイト内検索
会員サービス
会員のお申込
メルマガ購読
中智日本医薬総研株式会社
大阪医薬品協会
医薬基盤研究所